Interview with B.B.B.

ボンネビルスピードウィークに挑戦するTeam B.B.B.にインタビュー

HONDA CM90で挑むラストフロンティア

──そもそも、なんで今回の挑戦にHONDA CM90を選んだんですか?
武笠氏(以下M):俺たち、BOBL(Battle of Bottom Link)っていう旧車のレースやってるじゃない? やっぱそういう意味では、ボトムリンクサスペンションでOHVエンジンっていう、俺ららしい車両で最高速アタックをやってみたいってのがあるからですね。
──出るクラスが「M-PBG100」ですけど、その「B」ってボトムリンクのBなんですか?
M:いやいや、Bはボトムリンクじゃなくてブロワー(過給機=スーパーチャージャー)のBです。 去年は50ccでやったんですが、今年は100ccにステップアップしてもうちょっとスピード出したいなって。去年ある程度スーパーチャージャーのノウハウも掴んだから、それを生かしたいのもあります。 あと、一回ポンと行って「出ましたー」って終わるのもなんか違うじゃないですか? ずっと真剣に打ち込んでる人たちへのリスペクトもあるから、何年か挑戦し続けたいと思っています。記録が狙いやすそうな未開拓のクラスってのもあるし。

最高速は「瞬間」じゃない!? ボンネビルの深いルール

──ライダーのトモカは、大舞台に向けてどう? 今の心境というか。
トモカ(以下T):んー、もう頑張って走るぐらいしかないですかね(笑)。日本には絶対ない景色の中で走れるわけだし。やっぱ社長とタックさんが車体をしっかりやってくれてるから、こっちは安心して乗れます。私はメインライダーとして頑張るだけです。
──ひたすら直線だけど、どんなテクニックがいるの?
T: これね、みんな「一瞬の最高速」を競うって思いがちなんだけど、実は全然違うんです。私たちが走るのはショートコースなんですけど、最初の1マイル(約1.6km)が助走区間で、次の1マイルが「計測区間」なんです。要は、その1マイルの『平均速度』が記録になるんですよ。
──えっ!? 瞬間の最高速度じゃないの?
T: そうなんです。助走でトップスピードに乗せて、そこからどれだけ維持するか、さらに伸ばすかっていう競技なんです。一瞬の速度は参考で測ってくれるけど、記録にはならないですよ。
M: で、その1マイルで今までの記録を超えたとするじゃないですか? そしたら「インパウンド」って言って、そのまま車両を車検場に預けることになります。次の日の朝一番に「レコードラン」を走る。その時の記録と、前日の記録の『平均値』が記録となり排気量等のチェックを受けて、最終的な公式記録となります。
T: だから記録出すのに最低2日はかかります。朝一番は気温が低くて空気密度が高いから一番条件がいいんだけど、昼間と環境が変わるからセッティングも変わるし、1日目にミスったらまた最初からやり直し。ゲームとして本当に面白いんです。

カウルなしの意地と、スーパーチャージャーのリアル

──最高速狙うなら、空気抵抗減らすためにカウル付けたりしないんですか? よく言われません?
M:よく言われます。でもカウル付けると「空力クラス(Aクラスとか)」っていう別のクラスになっちゃうんですよ。 今年は「M-PBG100」にこだわっています。Mはモディファイド(フレーム改造)、Pはプッシュロッドエンジン、Bはブロワー、Gは指定ガソリンです。
──じゃあ、空力対策はどうしてるんですか?
M:コーナリングがないから直進安定性を良くするのと、レギュレーション内で最小限のことはやってるよ。シートカウルで風が抜けるようにしたり、リアにムーンディスクみたいなカバー付けたり。フロントはカバー付けられないルールだから、ブレーキ外してスペシャルハブ作って、少しでも抵抗減らすようにしています。

──スーパーチャージャー付けると、やっぱ劇的に速くなるんですか?
T:いや、魔法のアイテムじゃないんです。去年も社長とタックさんが悩みまくってたし。。。
酒井ボーリング高橋氏(以下S)使い方にもよりますし、4サイクル単気筒との相性もあったりします。ただエンジンの前にポンプをつけてるだけなので、手探りのところがまだあるんですよ。市販されてるものが少なすぎるんです。一番小さいので軽自動車用、それでも600cc。今回使ってるのは1回転200ccのモデルで、小さいやつはなかなかないですし。。。過給機の歴史自体は古くて、もともとは飛行機の技術。空気が薄いなら過給しましょうっていう考え方で、エンジン好きにはたまらない分野なんです。
ただ小型になるほどシビアになるのが、供給量と内部抵抗のトレードオフで「動かすのにエネルギーを使うので、小さくなるほどそのバランスがシビアになってきます。電動過給はレギュレーションで不可。クランク駆動のスーパーチャージャーか、排気エネルギーを使うターボか選択肢は限られているんです。だから面白いんですけど、やってる人も少ないんです。ただ、正直なところまだ語れるほどわかっていなくて、打ち止めされることの方が多いです。『NAでもできるんじゃないか』っていう領域すら使い切れていない気がして。。。 
M:実際、同クラスの記録を見るとNAの方が速いケースもあります。「データ的に小排気量は過給に向いていない」という可能性も否定できないですね。

誰も手をつけていない「ラストフロンティア」へ

──ズバリ、今回の目標はどのくらいですか?
一同:まずは現行クラス記録は53.968mph
M:大風呂敷広げるなら70マイルと言いたいところだけど、私は慎重派なので60〜65マイルからじゃないかと。
S:僕は120km/h(約75mph弱)出るんじゃないかと思っています。110km/hで走り切れればよくやった、120km/h超えてきたら頑張ってるね俺たち、という感じじゃないですかね。
一同:参考になるのがNA・プッシュロッド系のC200による68mph(約110km/h)という記録で70mph出たら価値がある。あれを超えることには意味がありますね。
──ボンネビルに挑む理由を聞かせてください
M:今の記録が80キロ台(約54マイル)なんですけど、そもそも小排気量にスーパーチャージャー付けてやってる人が意外と少ない。僕たち勝手にここを『ラストフロンティア』って呼んでいるんですけど(笑)、伸び代があるからこのクラスをやっています。他のクラスはもう心が折れるような記録が出ちゃってて無理っぽいけど、ここなら自分達でもまだ狙える。もし今回、俺らが120キロとか140キロ出したら『いやいや、ここから30キロ伸ばすの無理っしょ!』ってなるじゃないですか?(笑)誰もやったことないところを切り拓いていくのが、やっぱり面白いからですね。

2026.06.18 アニマルボート店内にて

Team

  • Daisuke Mukasa  | 武笠大輔〈ANIMALBOAT〉
  • Kazuhiro Takahashi  | 高橋 和広〈Sakai Boring〉
  • Tomoka Watanabe | 渡辺友香〈ANIMALBOAT〉
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