Bonneville Speedweek 2026 ー祝!世界最速記録達成!ー


Blower Bottomlink Brothers (ANIMALBOATとSakai Boring)は昨年に引き続き、今年も見事Bonneville Speedweek 2026にて世界最速記録を達成しました!
スピードウィーク現地レポート ― 世界記録更新への軌跡
競技の面白さを、少しでも伝えたい
武笠氏(以下M):僕自身、去年初めてこの大会に行きました。競技の存在は知っていても、どんなルールで進むのか、どこに面白さがあるのかは、実際に見るまでわかりませんでした。知ってみると、これは本当に面白い競技です。隣の誰かと競うのではなく、ひたすら自分自身と向き合うストイックな競技だからです。
STCAという団体自体もとても温かく、多くの人がボランティアでこの大会を支えています。車検を担当するスタッフもフレンドリーで協力的でありながら、同時に厳格さも持ち合わせている。本当に素晴らしい団体だと思います。
僕らにできる貢献があるとすれば、参加を続け、その面白さを伝えていくことだと思っています。少しでも興味を持った方はぜひ参加してみてほしいですし、何より、現地で手伝ってくれた方々、日本から応援してくれた方々——本当にたくさんの人に支えられたことに、心から感謝しています。
車検からレースウィークへ
酒井ボーリング高橋氏(以下S):毎年8月1日にレースが始まりますが、前日31日と前々日30日は車検日として設定されています。8月1日から7日までの1週間がレースウィークです。昨年は2日前から車検を受けましたが、今年は前日31日の車検のみで臨みました。
万一落ちた場合の対応を考えて昨年は余裕を持って受けましたが、今年はその必要はないと判断しました。武笠さんは昨年から車両製作・車検までを経験しており、車検長のジムさんとも顔なじみになっていたため、非常にスムーズに進みました。バイクの印象が強かったようで、昨年は写真もたくさん撮ってもらいました。
M:今回の車検では、タイヤの速度レンジが75マイル(約120km/h)までと指定されていることを厳しく確認されました。タイヤは製造から10年以内であることや製造年も含めてすべてチェックされます。私たちは120km/hも出るとは想定しておらず、110km/hも出れば上出来だろうと考えていました。
タイヤ選びの誤算
S:車両のスタイリングを細くまとめたかったこともあり、クラシカルなタイヤをチョイス。路面状況からしても特定のタイヤが有利というわけではなかったため、見た目重視で選んだ経緯があります。最初に購入したタイヤは縦溝のデザインが気に入って選んだのですが、実はBレンジ、つまり上限50km/hまでのものでした。現地でそのタイヤを履いていっていたら、慌てて現地で買い直すハメになっていたなと(笑)
初日、想定を超えた69マイル
M:当初の計画は、まず60マイル台で記録を一度確定させること。壊れてしまうと記録を残せないまま終わってしまうため、無理のない速度で確実にセットしようという方針でした。
M:現行記録の53マイルを超えるとインパウンド(車両の保管・封印措置)の対象になるため、1本目は60マイルほどを目標に設定しました。
トモカ(以下T):ところが実際に走ってみると、初回から69マイルを記録!
M:70マイル出れば御の字だと思っていた矢先!
S:この状況ではインパウンドせざるを得ないため、そのまま手続きに進みました。
インパウンドと決勝ラン
S:インパウンドすると、その日はもう車両に触ることができません。保管区域に移された後、4時間だけプラグ交換やジェット交換、空気圧調整などの作業が許されますが、それ以降は一切触れられなくなります。翌朝一番に「レコードラン」、つまり決勝が行われます。
M:前日ブレイクした車両が優先的に走行を許可され、列に並ぶことなく先導車に導かれてコースへ向かいます。不正防止のため、車両は管理された状態のまま保管エリアからスタート地点まで移動させられ、追加の改造は一切できません。前日の記録との平均で当日の記録が決まります。
S:決勝では69マイルから66マイルへと記録を落としました。朝は気温が低く空気が濃くなるため、ジェットをより上げないと燃調が薄くなってしまうことが原因だったようです。
M:決勝前に大きくセッティングを変える勇気もなかなか持てず(笑)
結果、1日目と2日目の平均速度で68マイルの記録となりました。
エンジン分解・封印、そしてギア比変更の決断
S:レコードダウン後、エンジンを分解しました。
M:係員がボア・ストロークを計測し、問題なければエンジンを閉じます。その後ヘッドにワイヤリング用のボルトを取り付けてワイヤリングし、封印。ペンで記名され、次に記録を出す際には再度開ける必要がなくなる仕組みです。
S:分解から組み立て、手続き完了まで数時間かかり、昼過ぎには作業が終わりました。すでに記録は一つ確保できていたため、この日はそこで作業を終え、次にブーストを上げるかスプロケットを変更するかを検討しました。エンジンが唸るところまで回転が上がっていたので、これ以上の伸びは期待できないと判断しました。
M:サーキットでも同様ですが、エンジンが唸っている状態ではそれ以上速度は伸びません。そこでギア比をロング化し、回転数を抑えながら速度を伸ばす方向で調整することにしました。
S:フロントスプロケット15、リアスプロケット32という、かなりロングな比率に変更しました。
75マイル、そしてタイヤレンジの壁
T:1本目の走行では、エンジンが吹け上がらないまま走り切ってしまいました。振動もなく、前日のようにフロントが大きく振れることもなく安定していたため、正直手応えがなく、回転数も8000回転ほどで頭打ちだと感じていました。走行後、記録を確認しに行った社長(武笠氏)の表情が渋かったため、大した記録ではなかったのだろうと思っていました。
M:ところが記録を取りに行くと75マイルという結果で、、、(笑) このライダーの感触は全く当てにならないなと、、、(笑)
T:2回目の走行の方が実際には怖かったです。前日とはコンディションがまったく違いました。
M:その後、友人のベスパで70マイル走行を試すと、、かなり怖さを感じました。渡辺には申し訳ないかったな、と。コーナーのない直線コースのため車高を落とし、それほど固めていない状態だったのですが、来年はダンパーの導入を検討したいと考えています。
S:入力が大きい分、戻りも大きくなって振動につながっている可能性があります。ダンパーを入れるか、もう少し硬いバネに変更するのが良さそうです。
T:風の強さは場所によって異なり、直前を走った車両によって路面状況も変わります。ハンドルを取られた場面は、路面の悪い区間を一瞬走ってしまったことが原因だったかなと。助走区間中だったため、一度速度を落として立て直し、再度加速しました。
タイヤの速度レンジは75マイルまでと定められていましたが、記録は75.8マイルに達していました。車検場に確認したところ、その回の走行は認められましたが、それ以上の速度は目指せないとの判断され、続く走行ではレコードランで71マイルまで記録を落とし、平均で73.8マイルという最終結果になりました。今年の走行はこの4本のみでした。
挑戦を終えて
M:想定より走行本数は少なかったものの、やり切れたことは良かったと思います。基本的な部分は昨年の経験が生きて、想定以上にスムーズに進みました。一方で、バイクが壊れるまでどこまで攻められるかは、まだ試せていません。今回はタイヤの選定が最大の反省点でした。とはいえ75マイルという数値は、他クラスと比較しても十分に速い部類に入ります。プッシュロッド(OHV)エンジンのクラスとしては、もしかすると世界最速かもしれません。
来年に向けて
M:今年やり切れなかった部分に、来年は挑戦したいと思っています。エンジンパワーはまだ上げていないので、そこでどこまで記録を伸ばせるかが来年の勝負です。来年は今年の記録を超えなければインパウンドの対象にならないため、73マイルがスタートラインになります。
環境保護に対する意識
Salt Flatsの塩が年々減っている問題があり、スピードウィークでは塩を落として帰ることが徹底されています。 エンジン以外はほぼすべて分解し、洗浄。会場の洗車場では、道路の融雪剤による塩分を洗い流してから帰るよう呼びかけられており、環境保護に対する意識の高さも印象的でした。
むすびに
M:多くの方々に応援していただき、本当にありがたいです。今は為替の状況も厳しく、こうしたチャレンジには難しい環境ですが、皆さんの応援のおかげで挑戦を続けることができ、結果的に記録も更新できました。
T:期待に応えられるよう、これからも精進してまいります。

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BONNEVILLE
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